カタールワールドカップ グループG セルビアvsスイス ストイコビッチ監督が何か凄い

2022/12/03

カタールワールドカップ サッカー スイス セルビア

t f B! P L

 


前提条件

  • スイスは勝利でグループステージ突破確定、引き分けの場合は他会場の結果に依存。
  • セルビアは勝利がグループステージ突破の最低条件で、他会場の結果に依存。
  • 日本時間12/3 4:00キックオフの試合で、現地気候では90分通してインテンシティを高く保つことができる時間帯とのこと。

スイスの注目点

  • (理由は知らないが)前節欠場していたスイス代表シャキリ選手の先発復帰
  • (理由は知らないが)スイス代表の正ゴールキーパーを長らく務めるゾマー選手の欠場
  • (理由は知らないが)左センターバック エルヴェディ選手欠場によるアカンジ選手の左センターバック配置

セルビアの注目点

  • ついにワールドカップ初登場のユヴェントス所属のヴラホヴィッチ選手
  • ワールドカップでは初披露となる1-3-4-1-2のシステム
  • (理由は知らないが)崩壊している守備の修正

スイスのスタメン

  • GK:コベル
  • DF:ヴィドマー、シェア、アカンジ、リカルド・ロドリゲス
  • MF:フロイラー、ジャカ、シャキリ、ジブリル・ソウ、ルベン・バルガス
  • FW:エンボロ

セルビアのスタメン

  • GK:ヴァニャ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ
  • DF:ミレンコビッチ、ベリコビッチ、パヴロビッチ
  • MF:ジブコビッチ、ルキッチ、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ、コスティッチ、タディッチ
  • FW:ヴラホヴィッチ、ミトロヴィッチ

試合の構成

セルビアの配置が面白いせいで両チームに噛み合う部分、噛み合わない部分が生まれた試合。

スイス陣内でのセルビアの非保持

セルビアの非保持は、スイス陣内ではオリジナルフォーメーションの3-4-1-2まま、タディッチ選手がアンカー番のような役割を行う。
スイスは明確なアンカーはいないが、2ボランチが横並びでいることは少なく、中盤底にポジショニングをとる選手に付いていることが多い。
噛み合わせ上、浮いてしまうサイドバックへはウイングバックのコスティッチ選手、ジヴコヴィッチ選手が気合のスプリントでプレッシャーをかけるスタイル。
結果的に、フィールドプレーヤーはオールコートマンツーマンのような形になった。

高い位置からプレッシャーをかける際はオールコートマンツーマンというか、兎にも角にも人を捕まえるのが主流だと思っている。
ディフェンダーとアタッカーの人数が同数になる守備は、数年前まではレアル・マドリードやユヴェントスのような、屈強なセンターバックを抱えるチームしか行っていなかった。
それがEURO2020の頃には代表ですら取り入れるチームが多くなり、今では屈強なセンターバックがいないチームですら取り入れている。

セルビアはというと、屈強なセンターバックがいないのに取り入れているタイプのチームで(試合を見ていくと別の理由も出てくるが)失点が多い原因の1つなのだろうと思った。

リスクを考えるときに重要なのは、兎にも角にも重大性。
その事象が発生してしまったときに、何もかもを失ってしまうようなことは、例え発生率が0.00000001%だったとしても、リスクを背負うべきじゃない。
結局バレてすべてを失うというのは名探偵コナンで学んだ。
セルビアはこの重大性を軽視している。

しかし、サッカーにおいては「どうせ守れないなら3点取ればいい」と開き直るチームが稀に出てきて、結構勝てたりする。
そういうチームは最高のエンターテインメントを提供してくれる。
セルビアはこのエンターテイメントを重視している。

で、この試合もイケイケガンガンの流れから失点した。完璧だ。

ミドルサードでのセルビアの非保持

セルビアはミドルサードからは守備の形を変える。
2018年ワールドカップ、2020年EUROのベルギー代表オマージュだ。

当時のベルギーは3-4-2-1で、セルビアの3-4-1-2とはシステムが違う。
ただ、むしろヘンテコなのは当時のベルギーで、1トップのルカク選手がサイドの守備に、シャドーのデ・ブライネ選手が中央の守備に入る。
身長が高く、身体の強いフォワードの選手は、なんとなくセンターフォワードやってそうなイメージがあるのだが、やらせてみると「あれ?」と思うことが多々ある。
実はルカク選手もその類の選手で、身長が高く、身体が強いけど、スピードもあるので、実はサイドに流れてのカウンターが得意な選手なのだ。
そしてデ・ブライネ選手は、ボールを運んで、相手を引き付けてリリース。
こないならシュートまで1人で持っているける選手なので、カウンターにおいては中央に入るのが良い。

肝心のセルビアのミドルサードに話を戻すと、トップ下に入るタディッチ選手がフォワードの列・中央に入り、2トップがサイドの守備へ入る5-2-3の守備陣形に可変する。

これによって得られるメリットは……正直言うと分からなかった。

局面がポジティブトランジションなのか、ボール保持なのかは分からないが、タディッチ選手がフリーになる場面は多々あった。
ただ、フリーになる要因がこの可変によるものだと断言しきるだけの根拠を見つけられなかった。
そもそもこういう守備だと気付くのに時間がかかりすぎた自分が悪いのだが。
また、ヴラホヴィッチ選手やミトロヴィッチ選手がサイドからポジティブトランジションをスタートできるメリットも分からなかった。

代わりに、これによって出てきてしまうデメリットはあった。

ヴラホヴィッチ選手もミトロヴィッチ選手も、ロクに守備をしてくれない。
そのため、スイスの両サイドバックが自由になる。
サイドバックにはウイングバックを縦スライドして対応させたいが、スイスのウイングにピン留めされている。
よって、ボランチがサイドバックへ対応しに出張しにいくことになる。
あとはスカスカの中盤中央となり、横断されて、数的不利となった逆ウイングバックが1vs2を仕掛けられてボコボコにされる。

構造的にはそういった試合だった。

試合の時系列

時系列的には朝4:00開始の試合ということもあり、正直記憶があまりない。
見返そうとしたらテレビ権を失ったので、見返す時間もない。

スコアだけ見ると3-2でスイスが逆転返しで勝利を収めるスペクタクルな試合だが、ここまで読めば何となく察するように、インテンシティが低いので、優先的に見返したい!とはならないのだ。
もちろんトップアスリートがやっているので、フィジカル面では素晴らしいのだけど、試合に勝つための設計であったり、その実行のために常に緊張を張り巡らせている、一瞬の判断が命取りとなる。
そういったヒリヒリ感、メンタル面のインテンシティがないのだ。
それが見たくて、「恐らく2位争いになるであろう」セルビアvsスイスを選出しただけに、ちょっと残念だった。
乱闘もどきがあったり、ストイコビッチ監督が宥める立場だったり、良くない言葉の発言したりといったエンターテイメント性は優れていた。
※もしかしたら乱闘のあと、熱い試合があったかもしれないけど、僕は寝落ちしたから分からないので許してほしい。乱闘長すぎ。

だが、前日に日本vsスペインの、まさに「真剣勝負」を見た後だと、ちょっとキツイ。
何ならこの試合の記事書かなきゃいけないのに日本vsスペインは4回も見てしまった。

黙って日本vsスペイン見たほうが良い

あの試合は最高だ。
見れば見るほど日本の守備の設計が浮かび上がってくる。
地上波、AbemaTVと実況解説を変えて見るのも楽しい。
全体カメラをはじめて使ったけど(途中でウェーブをひたすら見せられるのを除けば)リプレイがなくて試合に100%集中できる。
実況解説もないから日本サポーターの90分の応援も良い、というか最高。
試合後の選手スタッフの喜びもエモーショナル。

よって

日本vsスペインを見直した上で、クロアチア戦で勝利を収めよう。
バモ・ニッポン!

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