飼っていたハムスター"なす"の話

2021/02/09

家族

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2021年2月8日、飼っていたハムスターの"なす"が亡くなった。

2019年8月24日、僕はベガルタ仙台対湘南ベルマーレを観にきていた。
ウォーミングアップ開始を待っていたところ、置き去りにしてきた嫁からLINEがきた。

「この子、連れて帰っていい?」

メッセージと共に送られてきた写真には、愛犬の"ねぎ"と、いつもの近所の公園と、なぜかハムスターがうつっていた。

話を聞くと、飼育セットと一緒に公園に捨てられていたらしい。
そんなことあるか?と疑問を持ちながらも、

「このままじゃ熱中症になってしまう」
「野生の猫や鳥に襲われてしまう」

という妻のメッセージもあり、"保護"することになった。

ググってみると保護は届け出をしないと、面倒な話になるらしいので、妻はすぐに警察に連絡。
捨てハムスターは警察では預かれないらしく(本当かどうかは知らない)、福原家で3ヶ月間保護。飼い主が名乗り出た場合は返す。名乗り出なかった場合は、正式に権利が譲渡されるという話でまとまったようだ。

帰宅すると、愛犬のハウスの上に、ハムスターがいた。
愛犬は変なテンションになっていた。


写真は後日のもの。ご飯を食べるなすが許せないらしい。

まず、名前を付けることになった。
愛犬"ねぎ"同様、野菜がいいよね、野菜好きだし。という理由から、"なす"は"なす"と名付けられた。
形が似ているとか、そういう理由は全くないけど、いまは"なす"と名付けて良かったと思う。

次に、"なす"について調べることになった。
僕も妻も、ハムスターを飼ったことがない。知識は0だ。

とりあえず性別は・・・たぶんメス。
詳しくないので、いまだに確証はない。

種別は・・・たぶんゴールデンハムスター。
キンクマと呼ばれるらしい。
ベガルタ仙台サポーターの僕からしたら、ゴールデンと名前が付くことに運命を感じた。


杜の都から世界中を照らす"なす"とわざわざ着替えた僕

他のことはよくわからないが、一緒に捨てられていた飼育セットとGoogleがあれば、とりあえず何とかなっていた。
無事に3ヶ月が経ち、"なす"は正式に家族になった。
とはいっても、初めて会ったときから今までずっと気持ちの上で変わりはない。

"なす"は、とにかく元気なハムスターだった。

典型的な夜行性で、夜中に回し車で遊ぶ。
なぜか回し車の上にご飯を置く癖があって、走る度にカラカラ音がなる。
すると、食いしん坊の"ねぎ"が怒って吠える。
夜はなかなか眠れない日々が続いた。


"ねぎ"による徹底的な監視。怖い


逆に"ねぎ"を一緒に監視したこともある

あとは、よじ登るのが好きな子だった。
特に、ゲージの網の部分にぶら下がっている姿は、我が家ではサスケと読んでいた。


本当は布団なんだけど、"なす"にとっては玩具

他の特技には、脱走がある。
ごはんの袋の中や洗濯機の下、冷蔵庫の下など、たくさんの脱走をした。
無事に見つかるからいいものの、かなり危険だ。
最終的に、"なす"のゲージはガムテープで大量の補強がされている。

僕や嫁の実家に帰るときは"なす"と"ねぎ"も一緒に連れて帰る。
"なす"は癒しだとみんなに言われて、愛されていた。


実家のカウンターキッチンを散歩する"なす"

そんな"なす"が昨年の冬に動かなくなった。

たまたま、休みの日で、たまたま、ゲージに目をやって、たまたま、動いていないことに気づいた。
亡くなったのだと思ったが、よく見ると、呼吸だけはしていた。

急いで体温を暖めた。
タオルと手と息で、とにかく暖めた。
そして急いで病院に連れて行った。

インターネットでは、仮死状態や疑似冬眠とも呼ばれているが、低体温症だった。
幸い、早期発見と早期対応で"なす"は回復することができたが、この管理不行き届きが原因で、身体に負担をかけたのは間違いないと思う。
家族として、失格だった。

以降は、室温にとにかく気をつけた。
徹底的に20-25度を保つために、"なす"が暮らすのはコタツの中になった。
夜中には前と同じカラカラという音がなって、まだまだ一緒にいられると思っていた。
春になれば、コタツから出してあげて、夏は熱中症に気をつけなきゃいけないなんて考えていた。


1月30日の"なす"はやたら元気だった

だけど、1週間前の間に体調が急変した。
目ヤニが止まらず、目が開けられなくなった。
また、ご飯を食べる量が極端に減った。

2/6の朝に病院に連れていくと、また体温が低くなっていると診断された。
抗生剤をもらい、室温をあげて様子見をすることになった。
帰宅して、室温を25-30度になるように一緒にコタツで寝た。
だけど、体調はどんどん悪くなっていく。
寒いはずなのに、大好きな布団にも入らず、ゲージの端っこで目を閉じながら丸まって、ずっと寝ている。
呼吸は荒いし、食事はとらない。水もあまり飲まない。


本当に寒いのか?熱中症なのか?という葛藤が続く

「頑張って生きている」

そんな状態だった。
2/8の朝、急いで病院に問い合わせると、何よりも食事がとれないのが厳しいと言われた。
2/7からはふやかしたご飯をあげていたが、それもあまり食べれなかったからだ。
急いでリンゴを買ってきて、すりおろしたら、食べられた。

「ああ、よかった」

またご飯が食べられれば、少しずつ、少しずつ良くなると思った。
だけど、判断が遅かったのだと思う。

15時頃には、触られたりすることに敏感な"なす"が、自分の飲み水が少しずつ滴り、背中に水溜りができていることに、何の反応も示していなかった。
急いで払った。
そして、回復してほしいという思いで、すりおろしたリンゴを与えると、少しだけ食べた。
柔らかい布団の上に移動させて、暖めようと、千切った布団もかぶせた。
それが最後にみた、生きている"なす"の姿だった。

次にみたときには、呼吸、心臓が止まっていた。
最後にみたときと同じ、布団の上で、布団を被ったまま亡くなっていた。
15時30分頃に気づいた。
目を離してしまったことを、本当に後悔している。

捨てられていたハムスターだから、"なす"の年齢はいくつだったのか分からない。
だけど、もっとベストな飼育方法があったのは、明らかだった。
調べれば調べるほど、後手後手の対応だった。
あんなに元気な子だったから、もっと生きられる可能性があったと僕は思っている。

いまは、たくさんの思い出や楽しい気持ちをくれた"なす"に感謝の気持ちもあるが、自分の不甲斐なさが、そして、それ以上に「また会いたい」「寂しい」という気持ちが上回る。
妻と、愛犬と、愛ハムスターがいるだけで、幸せだったから、とても寂しい。

夢をみた。
"なす"の夢を見るのは、記憶がある限り、2度目。

1度目は、子供が産まれて、初めて発した言葉が「タッチ」だったと大騒ぎした夢。
子供が生まれる予定日は9月5日だから、正夢になるにはもっともっと長生きしてもらう必要があった。
「叶えたい」と思ったし、「叶えよう」と頑張って生きてくれたが、この夢は叶わなかった。

2度目の夢は、日常の夢。
ただ、"なす"もいた。それだけで、幸せだったのだと再確認させられる夢だった。

今日2/9は妻の誕生日だ。
"なす"は気遣いのできる子だから、頑張って少しでも長く生きてくれたと同時に、妻の誕生日を命日にしないようにしてくれたのかもしれない。優しい子だ。

子供ができたら、"なす"のように優しい子に育ってほしい。
名前に"な"、もしくは"す"を入れたいな。
平仮名じゃなくていいんだけど、子供に名前の由来を聞かれたときに、"なす"の話をして、きみがお腹の中にいたときに家族がもう一人いたんだよって、教えてあげたい。

今日2/9に"なす"は火葬しにいく。
実家で飼っていた愛犬"ポッケ"と同じ場所で火葬することにした。
会ったことはない二人だけど、仲良く虹の橋で待っていてくれると嬉しい。
また、元気に遊んでいる姿を見せてほしい。
たくさんお土産話ができるように、僕も頑張って生きる。

"なす"

たくさんの幸せをありがとう。
"なす"を保護するという判断は間違いじゃなかった。
最高の家族だったよ。
少しでも、楽しく暮らせていたなら嬉しいな。

また、会える日を楽しみにしてる。
また、みんなで大好きなリンゴを食べよう。
また、たくさん遊ぼうね。

本当にいままでありがとう。ゆっくり休んでね。またね。



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